diary/Kojima

・南セントレア騒動

新しい市名を「南セントレア市」にしようとした愛知県の美浜町と南知多町の 合併が,住民投票の結果,合併自体成立しないことになったとか.

まぁ,当事者ではないので野次馬的な関心しか無いのだけど,いくらなんでも 中部国際空港の愛称の「セントレア」を市名にするというのは無節操極まりな い感じ.

そもそも地名というのは,その土地に何千年も暮してきた人々の営みの中から 生まれてきたものなのに,「空港に隣接しているから」みたいな理由で名前を 付けるというのは過去の歴史や地名に対する冒涜であると共に,自らがいかに 流行に左右される生き方をしているかを示す行為な気がするなぁ.その意味で, 合併反対に票を投じた人が多かったことは,住民レベルの意識はそれほど捨て たものではないと言うべきなのかも知れない.

それにしても,もともと候補にもなかった「南セントレア市」なる名前を捻り 出した合併協議会の人々はいったい何を考えてたのだらう..過去のニュース を見てみると「国際交流都市を目指すのに清新なイメージ」があるから,とい う理由らしいけど,そういう意見に全会一致した「合併協議会」なるもののい かがわしさは住民も感じていたということか.

ちなみに「語源の快楽」(萩谷朴/新潮文庫)を読んでたら,本義から転用され ている地名の例がいくつか紹介されていたので転載.

代馬 => しろうま => 白馬(村): 元々は田んぼの代かきをする時期に雪が消えて馬のような地肌が見える山を
代馬岳(しろうまだけ)と呼んでいたのが,いつのまにか「代(しろ)」=>「白(しろ)」の転換が生じて
「白馬(しろうま)」=>「白馬(はくば)」になった
二荒(ふたら) => (にっこう) => 日光:元々は二荒山(ふたらやま)に祭られていた神宮寺を,弘法大師空海が
「補陀洛山記」の中で「二荒神(ふたらしん)」の「二荒(ふたら:にっこう)」の音から「日光」という名を
当てたから,日光が有名になってしまった
武庫 => むこ => 六甲(むこ:ろっこう):もともとは「むこ(務古,武庫)のやま」という名称の六甲山が,
近くの甲山(かぶとやま)からの連想で「六甲(むかふ)」の時をあてて,それを音読みした六甲山(ろっこう
さん)が名称になった

これくらいなら漢字に特有の音訓のゆらぎから「へぇー」で済む世界だろうけど,さすがに「セントレア」なんて言葉が堂々と日本語には入ってきて欲しくないところ.まぁ,50年後にはどうなってるかは知らないけど..



トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41