diary/Kojima

・空気を読む

「空気嫁」というのは 2ch あたりでよく聞く言葉だけど,今日の大相撲の千秋 楽を見て(実際はラジオで聞いて)ると,まさに「空気を読」んだ結果という気がした.

既に大関昇進を決めている白鵬がカド番で勝ち越しをかけている魁皇に 負けると共に,横綱の朝青龍も(来場所では横綱昇進の 可能性が無くなった)栃東に負けて栃東の来場所以降の横綱昇進に可能性を残し, 優勝決定戦の白鵬と朝青龍は(本割りでは負けている)朝青龍が勝って賜杯を取 り返す,という結果になって,ある意味,「三方一両損」的な感じで,絶対的 に勝った人はいないけど,みんなそれなりに幸せになれたなぁ,,という印象.

だからと言って,魁皇や栃東が八百長で星を買ったと言いたいわけではなく, 白鵬や朝青龍が「ファンのみんなが望んでいること」をわきまえて,それに合 わせた相撲を取ったという印象.別に八百長で負けることを約束していなくて も,「ここは勝たなくてもいい」みたいな判断ができるようになるのは,「大 相撲」という狭い社会の中で生きていくためには必要な能力な気がする.

このあたり,突きつめれば日本の村社会の伝統みたいなところまで行きつきそ うだけど,日本の場合,狭い空間の中で皆が生きているから特定の個人が最大 限の利益をひとりじめするよりは、多少は個々人の利益は減っても,共同体全体が 最大限の利益を得ることの方を重要視する傾向があるように思っているから, その意味で今回の白鵬や朝青龍の振舞は日本の大相撲界で長くやっていくに必要な考え 方を身に付けたと言える気もする.

同じ選手とは多くても2,3回くらいしか戦わないプロボクシングの世界 とは違って,戦う相手が限られていて,場所ごとに同じ相手と何度も繰り返し 戦う大相撲の世界では,近視眼的な利益を最大限にすることで他の選手から 「あいつは空気が読めないヤツ」と嫌われて常にフルパワーで対戦されるより も,「同じ大相撲の世界を盛り上げる仲間だから」と思われて,状況に応じた 対応をしてもらう方がいいことは確かなので,個人の局所最適解ではなく「大 相撲界」全体の最適解を目指す方がみんなの幸せ度も上りそうな気はする.

このあたりを「八百長」だとか「大関互助会」だと非難する人もいそうだけど, 観客に見せるプロスポーツの世界では,事前に勝ち負けを決めることはしなく ても,(観客が求める)場の空気を読んで,それに応じた対応ができるか否かが 選手生命を長く保つ大きな要素という気はする.



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41