diary/Kojima

・魔界転生

光市の母子殺人事件,差し戻しの広島高裁で死刑判決が出たようだけど, 判決文の中で,被告の「殺した女性を屍姦したのは「魔界転生」という小説にあるように, 姦淫することで死亡した女性が生き返ると考えたから」という主張に対して,

被告人が挙げた「魔界転生」という小説では、瀕死(ひんし)の状態にある男
性が女性と性交することにより、その女性の胎内に生まれ変わり、この世に出
るというのであって、死亡した女性が姦淫により生き返るというものとは相当
異なっている。そして、死者が女性の胎内に生まれ変わりこの世に現れるとい
うのは、「魔界転生」という小説の骨格をなす事項であって、実際に「魔界転
生」を読んだ者であれば、それを誤って記憶するはずがなく、したがって、そ
の小説を読んだ記憶から、死んだ女性を生き返らせるために姦淫するという発
想が浮かぶこともあり得ない。被害者を姦淫したのは、性欲を満たすためでは
なく、生き返らせるためであったという被告人の供述は到底信用できない。
(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080422/trl0804221950041-n2.htm)

と述べているのには思わず笑ってしまった.

昨今は裁判官の常識が一般大衆の常識とはかけ離れている (そのために裁判員制度を導入する)みたいな議論があるのだけど, わざわざ被告の主張を確認するために「魔界転生」を読んだとしたら, ずいぶん親切丁寧な裁判官だと思うし,自分が裁判員になったとしても, とてもそこまではできない(せいぜいググるくらいか :-)なぁ,という印象.

個人的には「魔界転生」は山田風太郎の原作ではなく, 石川賢のマンガ版でしか読んでないのだけど, 確かに裁判官の主張が正しいと思うし, 逆にあれだけたくさんいる弁護士団の誰一人その点を指摘しえなかった, というのは弁護士団の存在意義自体に関わる問題という気がするな.



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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41