[[diary/Kojima]]

・「奇談」

諸星大二郎の「生命の木」を映画化したという「奇談」を観賞.新宿オスカー
という映画館で見たのだけど,平日の一回目の上映ということもあり観客は十
人前後でずいぶんのびのびと見ることができました.

映画自体は「生命の木」を原作にしているのだけど,原作には無かった「7歳
の子供の神隠し」みたいなモチーフを付加して,ドラマ性を高めている印象.
また,原作には特に明示されていない時代性(1972年)も加えられていて,ちょっ
と懐しい風景があちこちに見られたり.そう言えば,ヒロインの髪型やファッ
ションも当時風だったなぁ.

メインのストーリーは「生命の木」なんだけど,考えてみるとあの漫画のストー
リーは,誰も知らない大昔から東北山中の山奥に隠れ住んでいた「じゅすへる」
の一族が,彼らに長年かけられていた「でうす」の呪いが解けて,彼らの中か
ら生まれた「くりすと」によって一族全員が昇天する瞬間に,稗田がたまたま
立ちあってしまったというだけで,稗田ら登場人物は勝手に動いていく「じゅ
すへる」一族の物語を読者へ説明するという役割しか担ってないんだよなぁ.

前後の話は読者の想像力に委ねてしまう短編漫画ならこれだけでも成立するの
だけど,映画のドラマに仕立てるにはいかんせんネタが不足気味だから,「7 
歳児の神隠し」というモチーフを持ってきて,それに関わったヒロインが封印
された記憶を探す,みたいな設定にしたのだろうなぁ,,

その意味で,ストーリーの流れにちょっと木に竹を継いだような感はあるもの
の,諸星作品に対する敬意あふれるオマージュとして,それなりに面白い映画
ではありました.個人的には,温泉につかるシーンで阿部寛演じる稗田礼二郎
の上半身が筋骨隆々すぎてとても学者には見えなかったりしたけれど(笑
-パンフを見ると、プロデューサーや監督とほぼ同世代なんだなぁ。「生命の木」へのもう一つのオマージュとも言うべき「エヴァンゲリオン」の庵野監督も同世代だし、私たちの世代にいかに多大な影響を与えたかが分るなぁ。。 > 「生命の木」 -- [[kojima]] &new{2005-11-27 (日) 00:54:03};

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