diary/Kojima

・柏崎刈羽原子力発電所

新潟県中越沖地震の影響で,柏崎刈羽原発が止まることになったとか.まぁ, 地震で50件近くのトラブルがあったとのことだから,停止は仕方ないところだ ろうけど,あそこは東電の最大規模の発電所だから,止まるとこれからピーク を迎える夏場の電力供給にかなり影響が出るだろうなぁ.

報道を聞いてると,「今まで知られていなかった活断層」が動いて「想定して いた最大震度の倍以上の加速度が観測」されて,「放射性物質を含んだ冷却水 が海へ放出」された,云々と言われているけど,このヘンの話を聞くにつけ 「安全」と「安心」は違うなぁ,,と考えてしまう.

電力会社や原発を設計した技術者は「安全」は保証するけど,「安心」はむし ろ社会や心理の問題で,「安全」の立場から確率や設計余裕(安全マージン)の 議論をいくらしても,それが地元住民の「安心」につながるものではないのだろう.

「安全」の立場からすると,10^-6(100万分の1)以下の発生確率の事象は無視す るのが当然なんだけど,「安心」の立場からすると「絶対」を求めてくるので, そこでそもそも議論が噛み合わなくなりがち.

今回の地震も,マスコミの報道とかを聞くと,未知の活断層を見落したことや 想定震度の倍以上の加速度を観測したこと,それによって50件ものトラブルが 起きたこと等を批判しているようだけど,電力中央研究所なるところで10年く らい禄を食んでいた身からすると,「未知の活断層があって想定震度の倍以上 の加速度を生じるような地震が発生しても,原子力発電所のコアになる部分に は何ら影響が無いくらい,原発設計の安全マージンは高い」と考えてしまう ところ.

空気中に放射性物質が漏れた,って話もよく聞くが,柏崎刈羽のようなBWR(沸 騰水)型の原発だと,放射性物質を含んだ水がタービン系まで回るから,何十 km もあるそれらの配管のどこかが破れることはあり得るし,それら末梢の配管 が破れたところで原子炉の運転にはほとんど影響ないのだがなぁ..

まぁ,これがきっかけで,「東京大停電」みたいなことにならないことを願う けど,技術的な「安全」と心理的な「安心」を区別しない感情論で議論を続 けていると,より大きな災厄に見舞われそうな気がしないでもないところ.

技術屋的な観点から言うと,「東京大停電」みたいなテロを起すには警備の厳
重な原発という「点」を狙うより,そこからの電気を運んでいて警備の手が回
らない「線」である送電網を狙う方が効率がいいと思うけど(笑


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Last-modified: 2021-12-17 (金) 16:35:41