・最近読んだ本
「乗っとられた聖書」 秦 剛平/京都大学学術出版会
キリスト教が使っている旧約聖書が,ユダヤ教の聖書からどのように翻訳され, 「旧約聖書」としてどのように利用されていったかを語っている本.
キリスト教では,ナザレのイエスの言行を元に「新しい契約」として「新約聖 書」を作り,それによって古くなった契約としてユダヤ教の聖書を「旧約聖書」 として位置づけており,このキリスト教側で使っている旧約聖書はいわゆる 「70人訳」と呼ばれるギリシア語翻訳版(元々のユダヤ教の聖書はヘブライ語) だけど,そのギリシア語翻訳版はキリスト教の伝説が語るようなきちんとした ものではなく,そもそも当時のユダヤ教の聖書は必ずしも定本があったわけで はない,という話をエンエンと説明している.
まぁ,内容的にはそれなりに面白いのだけど,語っている内容がごく一部の人 間向けなのに対して,語り口は大学の一般教養課程の学生向けみたいな感じで すごくアンバランスな印象.専門家を前提に書けばもっと簡潔にまとめられて より詳しい議論ができたような気がするのだけど,この語り口はソフトカバー の「学術選書」のスタイルに合わせているのだろうな.
個人的にはそもそも京都大学の出版局が出すなら,法政大学の叢書ウニベルシタス くらいのレベルは目指して欲しいと思うところ.正直,このレベルの「学術選書」だと新書 に毛が生えた程度と思ふ
・甲骨文字クイズその2
答 6:鳥 7:魚 8:竜 9:車 10:休
6,7 あたりは何を元にしたかがよく分かるので,今でも通用しそうなデザイン ですね.8 の竜はちょっと難しいけど,王冠を付けたヘビを描いたような感じ で,王冠の部分が「立」として現在まで残っているみたい.
9 は車輪を持った戦車を,車輪の部分は横から見た様子でデザインしていますね. ある意味,ピカソとかのキュービズムを先取りしていると言えるのかも.
10 の「休」は左側が「人」を示し,右側が 5 の「木」で,人が木陰で休んで いる様の描写と言えそうです.