・最近読んだ本(マンガ :-)
「蒼天航路」(講談社 モーニング KC 原作 李學仁/漫画 王欣太)
しばらく前から気になっていたのだけど,ちょっとしたきっかけがあって,32 巻をざっと通読.
いわゆる漢の後に魏・呉・蜀の三国が覇権を争った三国志の話なんだけど,通 常は悪役になっている魏の曹操を主人公にして,曹操を中心に三国志を見直し たストーリー.よく知られた横山光輝の「三国志」や NHK の人形劇の三国志 が「三国志演義」がベースで蜀の劉備を主人公にし,曹操は悪役になっている のに対して,180度視点を変えて曹操の側から見ているのがなかなか斬新で面 白かった.
特に漢の400年を支配してきた「儒学」の束縛を破り,詩や医学を「儒」から 独立させて,「唯才是挙(たださいのみこれをあげよ)」として儒教的な道徳に はこだわらずに才能のみを評価する,という曹操の視点は,この前読んだ「中 国の科学思想」で指摘されていた道教が中国科学の源流となった,というあたりと 通じるところがあっていろいろと目からうろこだったり.
「史実」なるものをどう見るかは当然見る側の立場によって異なるのだけど, 改めて横山三国志を読み返したり,「演義」ではない陳寿の「三国志」を読ん でみようかと思った今日このごろ.